この柔軟な空間が内に入り込むことで、住まいの楽しみが倍増します。

来客が靴のまま気軽に入って来れたり、そのままネギなんかをとりに外に出て行けたり、内外の行き来がとてもスムーズなのです。もちろん、板や畳の床材や高床の仕組みも日本の気候に適応する工夫から生まれた素晴らしい発明であり、その良さについては改めて述べたいと思いますが、とにもかくにも、この内外の活動の連続性が土 間の最大の特徴とも言えます。

土間では人の動きが光や風のように自由になります。

さらにその先に庭等の外部空間があれば、「土間」が内と外を親密につないでくれるので、空間も活動も内から外まで敷地いっぱいに広がります。
夏は敷地全体に広がる暮らしの中心として、寒い冬は内にある庭として、土間はその機能をダイナミックに変化させることができます。

一年中同じ場所に座っていないで、季節と共に暮らしを伸び縮みさせることが、豊かな四季を持つ国を楽しむコツだと思います。

土間は「内と外が出会う場所」として、そんな暮らしに大切な空間です。（つづく）